私の幼い頃、よく祖母が「太陽がいつも見てくれているよ。」と話してくれました。当時は通学路で見る眩しい太陽という認識でしかありませんでしたが、今考えると「どんな時でも誰かが見て下さっている。諦めるな。」ということを伝えたかったのではと思います。日々努力することで成就し、時代の共鳴を生み必ず達成できる。との思いを込め作曲いたしました。
冒頭、マウスピースで風の音が模倣され、ビブラフォンの淡々と演奏される8分音符が時の流れを告げます。そして木管主体の主題がしっとりと奏でられます。次に風を模倣したフレーズが管楽器に移り、拍子は4/4・2/4・3/4・2/4と変化させることで普遍的な時と、揺れ動く心情を表現しました。続いてティンパニのソロを挟み、爽快なマーチが演奏されます。ここは希望に溢れ、日々の楽しい情景を綴りました。
中盤、どこか戯けた雰囲気のするクラリネットやミュート付きトロンボーン等が交互に登場し、アルトサックスの哀愁あるソロに繋がります。どちらもテンポ表記は同じですが、リズムや拍の捉え方、音価や音高の違いによって曲の流れを調整しました。次に中音楽器群により朗々と主題が提示されますが、突如テンポが上がり半音でぶつかり合い下降し、激しい音楽へと傾れ込みます。葛藤や、逃げたい気持ち、挫折を再現しています。
終盤、幾度となく提示された主題が、華やかな金管ファンファーレで変奏されます。また、今までは旋律に対し伴奏や和音がありましたが、次のユーフォニアムは無伴奏になります。前を見て力強く歩む姿を表現しました。静寂の中、単音が響き、ピアノの情熱的なスケールが、壮大なフィナーレを導きます。螺旋状に広がる太陽の光が、無数の絲となり私たちを繋いでくれる様子を描きました。そして成就された音は輝かしい未来を期待させながら堂々と終えます。
最後に、曲が終わると、また冒頭に戻る。この繰り返しなのかもしれません。只、「太陽がいつも見てくれているよ。」と祖母が教えてくれたように、日々を歩んでいこうと思います。
(内藤友樹)
2022年 第61回名寄地区吹奏楽コンクール / 下川町立下川中学校吹奏楽部
2022年 第69回兵庫県吹奏楽コンクール西播地区大会 / 姫路市立白鷺小中学校音楽部
2022年 第67回鹿児島県吹奏楽コンクール / 曽於市立大隅中学校吹奏楽部
2021年 第59回岐阜県吹奏楽コンクール / 大垣市立赤坂中学校吹奏楽部
2021年 第70回下越地区吹奏楽コンクール / 新発田市立七葉中学校吹奏楽部
2021年 第61回長野県吹奏楽コンクール中信地区大会 / 安曇野市立穂高西中学校吹奏楽部
2021年 第63回千葉県吹奏楽コンクール / 市川市立新井小学校吹奏楽部
2019年 第60回広島県吹奏楽コンクール / 福山市立城西中学校吹奏楽部
2019年 第59回長野県吹奏楽コンクール北信B地区大会 / 長野市立信州新町中学校吹奏楽部
2018年 ジョイフルフェスティバル2018 / 川口市立青木中学校吹奏楽部
2018年 第38回定期演奏会 / 川口市立青木中学校吹奏楽部
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